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シェアハウスへの投資を考える

almater

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先日ここでもご紹介した「かぼちゃの馬車」に関連した相談をいただく機会が増えてきました。
実態を伺うほどこの問題の痛いところがいろいろ見えてきました。

入居者のことを考えていない設計


かぼちゃの馬車」に関連する物件の共通点の1つが「共有部が小さすぎる」ことです。
20室もあるのに共有部が4畳くらいのキッチンが2つしかない。
そんな例を拝見しました。
程度の違いはあれ、このような物件が多いと関係者からききました。
よく考えてみましょう。
20人もいて4畳のスペースが2つ。
言い換えれば10人いて4畳のスペースが1つです。
シェアハウスの中で交流"しない”前提ですね。
そういうスタイルもあります。
交流をしない、すなわち誰が住んでいるかわからないんです。
同じフロアで10人も知らない人が住んでいる空間に住みたいでしょうか。
ゼロではないでしょうが、代償として「安く住める」というインセンティブがあるからでしょう。
そう、よっぽど安くないと受け入れられないですね。

甘い見積


「安い」というインセンティブなら成立するそんな物件。
ところが「かぼちゃの馬車」側からの提案の前提は、
「周りの相場と同じまたはもっと高い」でした。
何を前提にそんな家賃設定ができると思ったのでしょうか。
私がいた企業で事業計画を立てる際、単価と数量設定をする前提は重要な議題でした。
なぜその単価と数量を前提と考えるのか、ロジックが求められます。
部屋単価は周りのシェアハウスや賃貸相場を見るとある程度把握できます。
収支見積前提の賃料がまったく筋が通っていないのです。
しかも100%入居して表面利回りを見積もっている。
1年通じて100%ってどんな物件でしょうか、シェアハウスで。
満室だったとしても、退去の後その翌日に入居することは考えにくいです。
仮に次の入居者が1ヶ月に入ったとすると、その部屋は12ヶ月のうち1ヶ月は空室になるのです。
シェアハウスの場合、利用サイクルは短いです。1年入れば長い方でしょう。
すると1年に1回は入れ替えがあると考えられます。
1/12=約8%は空室、すなわち入居率は92%がかなり頑張った数値になるのです。
入居者が1ヶ月以内に決まって入居してくれればまだいいです。
時期や環境によってすぐに入らないこともありえます。
となると、事業計画としては平均入居率としては90%もしくはもう少し低い値で考えるのが現実的です。
入居率100%前提で説明をする「かぼちゃの馬車」サイドの無責任さはひどいと思いますし、
そこに疑問を挟まなかった投資家側にも甘さがあります。
投資家は「任せたら儲かる」と思ってこの投資にカネをつっこんだのなら、投資家をやめることをおすすめします。
投資家が負うリスクは、事業前提を自分なりに想定してその前提が思った通りにならないリスクのことなのです。
これは将来を予測することで、とても大きなリスクです。この世で誰も確約できないのですから。
どんなにロジックが揃っても、明日隕石が落ちたら?
「そんなことは起こるはずない」と思った人は、まったくもって投資家はやめたほうがいいです。
そういう感覚だったから東日本大震災で被害が大きくなったのです。
・こんな津波は来るとは思わなかった
・原発は絶対安全だと思っていた
こんなことは起こらないかもしれない。でも起こったら諦めるくらいの覚悟が必要です。

節操ない銀行


シェアハウス事業を少しでも考えている人なら、
このビジネスモデルがとてもおかしいことは気づくはず。
実際私の周りの関係者は3年以上前から「これはおかしい。絶対おかしなことが起こる」と危機感を感じていました。
ましてや不動産事業への投資を長いことやってきた銀行は、本来はプロのはず。
破綻したら差し押さえたら良い、とでも思ったのでしょうか。
利率3.5%くらい。(正確な数値は確認していません)
そして諸経費として1,000万円のローンが利率7,5%で組まされている。
かぼちゃの馬車」を運営しているスマートデイズの発表によると平均入居率は30%くらいだったとか。
FBで知人が投稿した内容によると1年以上誰も入っていないという物件もあったとか。
実際に投資した物件がどうなっているのか、確認しようとしなかったのでしょうか。
あるいはわかっていても無視していたのでしょうか。
後者ならなおさら罪は大きい。
ある地方銀行が一手にこの融資を担当していたそうです。
銀行の本来の役割である事業・生活を支援するという社会性より、
これで儲かる、という卑しい気持ちが上回ったのではないか、そういう印象を持っています。

シェアハウス事業への影響


影響は大きいでしょう。融資が一気に厳しくなります。
するとこの事業へ流れる資金がぐっと少なくなります。
これからの事業で中核となる「シェアビジネス」の一端を担う「シェアハウス」は
これからのライフスタイルの選択しとしてとても魅力ある世界です。
それが、卑しい人達によって厳しくなるのはとても残念です。
でも、どの世界でもどの事業でもありうる話です。
文句や愚痴をいうだけでは先に進めないので
しっかりユーザーと向き合った丁寧な活動を日々積み重ねていくことが、
今シェアハウス事業に関わる1人としてやるべきことだと思っています。

写真は今日偶然実家の近くで撮影した夕焼けをバックにした富士山。
手前は多摩川です。
心洗われる景色でした。

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